正しい物欲

帽子

ある作家さんの帽子が好きで 
心がときめく作品に出会うたび
購入せずにはいられなかった

「キミが欲しい。誰のものにもならないで」

自分に似合うかどうかは 二の次
「良いものは良い」
「惚れちゃったら しょうがない」 
自分を納得させるための 魔法の言葉が発動する
抑えられない衝動に 財布の紐は緩かった 

言うまでもないが 帽子とは本来 頭に被るものである
しかし 帽子を眺めるだけで満足してしまっている私は
それが身に着けるものであることを忘れてしまっている
果たして この奇妙な愛着は
帽子にとって幸せなことだろうか
作家さんにとって喜ばしいことだろうか

「ものを大切にする」と 一言で言っても
その価値観はいろいろ
使ってなんぼという愛し方もあれば
新品こそが価値という愛し方もある
どちらが良くて どちらが悪いでもないが
私は大切なものを 正しく愛せているだろうか
私ではなく 別の誰かのもとへ 嫁いでいたならば 
この帽子たちは もっと別の愛され方 
活躍の仕方が あったのではないか

ものの存在価値を 生かすも殺すも 所有者次第 
ものを所有するということは 
ものの存在価値を引き受けるということ
そう考えると 
私ごときに その資格があるだろうか
いつか この帽子に相応しい 自分になりたい

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