ブレーメンのニワトリ

ブレーメン

自分のことは 自分では よくわからなかったりする
それは ずーっと昔 子供のころから変わらない

私の得意科目は 図画工作
絵を描いたり 粘土で造形を作ったりするのが 好きだった
でも 自分で自分の作品を 上手いと思ったことはなかった
クラスメイトや先生が 自分の作品を褒めてくれるので
自然に 漠然と 
自分は物を作るのが得意なんだなと 思うようになった

小学校3・4年生ぐらいの時だったろうか
土粘土で 好きな物語の一場面を表現しなさいと 課題を出され
私は 動物を作りたかったので 「ブレーメンの音楽隊」の 
動物たちが一斉に大声で鳴く あの一番ベタな場面を 作ることにした

ロバの上にイヌが乗り イヌの上にネコが乗り ネコの上にニワトリが乗った
あのシルエットは 誰が見ても ブレーメンの音楽隊だと すぐに分かるだろう 
ベタ中のベタな場面を選んだのは 
ヘタクソな仕上がりになっても きっと誰かは 分かってくれるだろうという 
せこい保険だった

普通に考えれば まず 土台となるロバから 作り始めるのが正解なのだが
何を思ったか 私は ニワトリから作り始めてしまった
そう 私はまず 
ショートケーキの一番上に乗っている イチゴから 食べたい人なのだ
ニワトリをリアルに 躍動感いっぱいに表現したくて 
どんどんパーツを増やしていく内に 
ずいぶんと立派なニワトリが 出来上がってしまった
気付けば 粘土がもう半分ほどしか 残っていないではないか
これは まずいと思い ここでまさかの テーマ変更
そういえば ニワトリが金の卵を産む 童話があったような・・・と
記憶を呼び覚まし これはいけると 軌道修正 
残りの粘土で 卵を数個作って ごまかすことにした

タイトル 「ニワトリと金の卵」

後ろめたさはあったが 作品として成立させるには 他に手段が無かった
リカバーは完璧と 安堵していた その時
クラスメイトの女の子が 私の作品を見て そっと つぶやいた

「ニワトリじゃなくて、ガチョウだよ」

そうだった・・・・
ニワトリじゃなくて 「ガチョウと黄金の卵」 というお話しだった
しまった やってしまったー と後悔するも 時すでに遅し
作品は そのまま 提出することに・・・

そして 恐怖の作品展
私の作品は 
勘違いの恥ずかしい作品として 人目に晒されることを覚悟していた
だが 結果は違った
私の作品タイトルの横には なんと 優秀作品のリボンが付いていた
これは いったい どういうことだ? と 半信半疑になるも 
勇気を出して 先生に聞いてみた

「先生、なんで私の作品にリボンが付いてるんですか?」

すると 先生は 

「先生も ガチョウよりニワトリの方が好き。上手に出来たね」 

と言ってくれた

人生初の 嬉し泣き
うれしかった とても うれしかった
物づくりって 楽しいなと 素直に思えた
ありがとう 先生 

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