先輩、第二ボタンください

第二ボタン

まだまだ子供だった中学生のころの話

上級生の卒業式を間近に控えたある日 
同級生で幼馴染のよっちゃんが 唐突に 
「なあ、第二ボタン欲しない?」 と言い出した 

よっちゃん 好きな先輩おるん? そんなん初耳やし!と 
恋バナの予感に 心躍らせつつ 前のめり気味に
「え?誰のボタンが欲しいの?」 と聞いてみると
よっちゃんは あっけらかんと
「誰でもいい」 と・・・

誰でもいいとは どういうことか?
どうやら よっちゃんは 好きな先輩に告白したいのではなく
第二ボタンを貰うという風習 卒業式あるあるに興味があっただけで
なんとなく 自分も参加してみたいという かわいらしい動機だった
「そもそも好きな先輩なんておらへんし~」 との言葉に 
恋バナの夢は散ってしまったが
形だけでも 疑似体験してみたいという 彼女の望みを叶えるため
擬似的憧れの先輩になってくれる ボランティア候補を探すことにした

とはいっても 
こんな失礼なお願いを むやみやたらに 打ち明けられるはずもなく
半ば あきらめかけていた その時 奇跡が起きた 
仲良しの先輩が 事情を察して 手を差し伸べてくれたのだ

「私の彼氏のでよかったら、聞いてみようか?
第二ボタンは無理だけど、それ以外なら大丈夫だよ」

先輩の彼氏さんのボタンを貰う?
そんなのありなんですか? えー! と驚愕しつつも
飛び上がって よろこんだ

「よろしくお願いします!」

これは よろこぶ状況なのか? よろこんでいいのか? と
もう わけが分からなくなっていたが 
この時は ただただ 先輩の優しさが うれしかった

そして 後日 先輩から 返事が返ってきた

「ごめーん、意味不明だから無理って言われちゃった・・・
でも、前に着てた制服のボタンなら余ってるからあげてもいいよって、
これ預かってきたんだけど」

そういって 渡してくれたのは もう小さくて着れなくなってしまった制服の
何番目かに付いていたであろうボタン 2個

「あ、ありがとうございます・・・」

あれ? おや? むむむ?
確かに ボタンが欲しいと言いましたが タンスで眠っていたボタンを渡されても・・・
それに今日は 卒業式でも何でもない日だし 欲しいのは疑似体験なんですけど・・・

なんてことは 口が裂けても言えない

こうして よっちゃんの望みは 翌年に持ち越されることとなった
本当に欲しいボタンは まだ 見つかっていない

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